第2章 賃金及び旅費 第16節 退職手当 退職手当は一般に退職金と呼ばれ、いわゆる「退職一時金」を指す場合が多く、公務員 の身分保障や日本型終身雇用の象徴とも言われてきました。 公務員制度の中では、給与法・給与条例とは別の法律、条令で規定し、人事院による官 民比較調査をもとに、5年毎に支給水準が見直されてきました。 長期の経済低迷や年金の一元化などの動きの中で、民間企業は全体的に「退職金」より も「企業年金」にシフトさせることで「人材の確保」をはかるようになり、2000年代に なると、退職一時金だけの官民比較ではすまなくなりました。 そこで2007年度改定以降は、退職金と企業年金の合計額(「退職給付」)の官民比較 が行われるようになり、2007年度は 2,416千円(8.82%)の増額改定から、2012年度 は一転して4,026千円(13.65%)の大幅減額改定となりました。 2023年度から公務員の定年は2年に1歳ずつ段階的に引上げ、2031年度から65歳とな ります。 2022賃金確定交渉の結果、本県では「定年引上げ導入後において、実際に退職する時 点の支給率により国から示されている方法によって算定した退職手当額と、現行の定年年 齢で退職するとして算定した退職手当額を比較し、多い方の手当額を支給する」「2024 年4月以降の再任用職員の勤務形態は、現行のフルタイム・5分の4・2分の1に加え 5分の3を新設する」ことになりました。 1 支給対象 勤続期間が原則として1年以上ある者が、死亡または退職した場合に、原則として退 職した日から1カ月以内に、その者又はその遺族に支給される。 (1)支給されない場合 国や他の公共団体などに就職し勤続年数が通算される場合や、懲戒免職に処された 場合には支給されない。 (2)勤続期間から除算される期間 @休職(私疾病による):休職期間の2分の1 A育児休業:休業期間の3分の1 B停職:停職期間の全部 C労働組合専従休職:休職期間の全部 2 支給額の計算 退職手当の額=退職手当の基本額+退職手当の調整額 退職手当の基本額=(退職日の給料の月額)×退職事由別・勤続年数別支給率 退職手当の調整額= Σ(級別調整月額×在級月数):最も額の多い60月分 <定年前早期退職の場合の給料の月額の調整> 勤続20年以上かつ定年から15年を減じた年齢以上の職員が、定年の6月以上前に 早期退職募集等により退職する場合は、退職日の給料の月額(給料月額+給料の調 整額)に0.03(定年前1年の場合は0.02)と定年までの残年数を乗じた額とする。 <図表> z288:退職事由別・勤続年数別支給率 <図表> z289:級別調整月額 |